どこからが不貞行為?不貞行為の意味を弁護士が解説します

配偶者が不倫をした場合、不倫・浮気を理由に損害賠償請求をすることができます。

しかし、法律上、不倫や浮気の定義は定められていません。

また、離婚原因の一つとして定められている不貞行為についても、その定義は明記されていません。

そのため、どこからが不貞行為に当たるかが判然としません。

本コラムでは、どこからが不貞行為に当たるかを解説します。

本記事を読んで分かること

不貞行為とは

どこからが不貞行為

不貞行為に当たらない場合

1.不貞行為とは?

民法上、不貞行為は離婚原因の一つとして定められていますが、具体的な定義は法律上定められていません。

判例上、不貞行為とは、自由な意思に基づいて、配偶者以外の異性と性的な関係を持つことと考えられています。

不貞行為における性的な関係は狭く解釈されています。

TIPS!
不倫や浮気は、法律用語ではありません。
不倫や浮気は、性行為に限定する不貞行為よりも広い概念として用いられることが多いでしょう。
そのため、不倫や浮気は、不貞行為には当たらない不適切な行為も含まれていることが多く、厳密には不貞行為と不倫や浮気は完全には一致しないといえるでしょう。

2.どこからが不貞行為?

不貞行為における性的な関係は狭く捉えられています。

性的関係とは、性器の挿入を伴う性行為に限定して考えられています。

性行為に当たらない行為、例えば、オーラルセックスのような性交類似行為は不貞行為には当たらないと考えられています。

また、胸を触る行為やキスをする行為は、性行為ではないため、不貞行為にはなりません。

ただ、不貞行為に当たらないとしても、夫婦関係の平穏を害する行為であれば、違法な行為として慰謝料の対象となる場合があります。

✓チェック
社会観念の変化により、性的指向や性自認が多様化しています。
これにより、同性同士の性的な接触についても、不貞行為であると認定する裁判も一部あります(東京地方裁判所判決令和3年2月16日)。

2-1.不貞行為の立証の問題

不貞行為そのものを直接的に証明することは容易ではありません。

性行為そのものの写真や動画のような、性行為の直接的な証拠が揃っているとは限られません。

しかし、性行為そのものの証拠が無かっとしても、証拠によっては性行為の認定がなされる場合があります。

以下の事情を裏付ける資料があれば、不貞行為の存在を証明できる可能性があります。

• 相手宅の宿泊

• ラブホテルの利用

• 宿泊を伴う旅行

• 性的な関係にあることを前提としたメールのやりとり

• デリバリーヘルスの女性従業員から性的サービスを受けたこと(福岡地判平27年12月22日)

3.婚姻関係が破綻している場合

不貞行為が慰謝料の対象となる理由は、不貞行為によって夫婦関係の平穏という保護された権利利益を侵害するからです。

そのため、性行為に及んだ時点で既に夫婦関係が壊れているのであれば、性行為により侵害される権利利益が存在しないことになります。

しかし、たとえ夫婦仲が悪化していたとしても、夫婦が同居できているのであれば、夫婦関係が破綻していると評価されることはほとんどありません。

そのため、性行為は夫婦関係の平穏を害する違法な行為として捉えられます。

3-1.家庭内別居

性行為当時、家庭内別居をしていていたため、夫婦関係は破綻していたと主張をするケースは多いです。

家庭内別居のほとんどは、夫婦仲が悪く顔も合わせたくないといった心情を述べているに過ぎません。

広大な敷地で別々の家に居住している場合や完全な二世帯住宅で家計も異にしているような場合でなければ、家庭内別居の主張により夫婦関係の破綻を認定されることはほとんどありません。

3-2.別居後の行為

離婚に向けた別居をすることにより、夫婦関係が破綻したといえれば、別居後の性行為は、夫婦関係を破壊する違法な行為とは認定されません。

つまり、配偶者以外の異性と性行為に及んでも慰謝料の対象にはなりません。

しかし、別居したといっても、

• 定期的に自宅に戻っている

• 離婚に向けた協議や離婚調停の申立てがされていない

別居してから期間がほとんど経過していない

といった場合には、『別居=夫婦関係の破綻』と認定されない可能性はあります。

そのため、別居後の性行為が全て不貞行為に該当するともいえませんが、逆に全て許容される行為とも言い難いでしょう。

4.自由な意思による性行為

相手方からの強いアプローチにより、断り切れずに性行為に及んだ場合でも不貞行為といえるのでしょうか?

不貞行為といえるためには、その性行為が自分自身の自由な意思による行為であることが必要です。

そのため、意思を抑圧されて性被害を受けたようなケースでは、自由な意思による性行為ではないため、不貞行為とは言えません。

また、酩酊状態にあり、抵抗ができない状況で性行為を受けた場合にも、自由な意思が否定されます。

他方で、相手方の意思を抑圧して、無理やり性行為に及んだ場合には、行為者自身は自由意思により行為に及んでますから、不貞行為になります。

このような犯罪ともいえるようなケースで性被害を受けたのであれば、自由意思は否定されるでしょう。

しかし、相手方からのアプローチが強く、断り切れずに性行為に及んだ場合には、自由意思が否定される可能性は低く、不貞行為に該当するでしょう。

5.婚姻を継続し難い重大な事由

性行為ではない行為は不貞行為には当たりません(異なる見解もあります。)。

しかし、挿入行為を伴わないとしても、性行為に類似する行為であれば、夫婦関係の平穏を害する可能性はあります。

行為の性質や行為の回数等を踏まえて、夫婦関係の平穏を害する行為といえる場合には、慰謝料請求の対象となります。

ただ、類型的に不貞行為とはいえない不適切な行為に留まるため、慰謝料額は不貞行為の慰謝料よりも小さい金額になるケースは多いでしょう。

6.弁護士に相談しよう

どこまでの行為が不貞行為に当たるかは明確です。

ただ、不貞行為それ自体の証拠がない場合に、どこまでの行為であれば不貞行為の証明ができるのかが問題となることが多いです。

不貞行為に関係する証拠の評価は専門的な知見を要する作業です。

ご自身で頑張り過ぎずに、適切に弁護士に相談することが重要です。

弁護士に依頼するメリット

配偶者の行為が不貞行為に該当するか判断できる

不貞行為を証明できる証拠を計画的に収集できる

不貞行為の慰謝料請求を一任できる

自身に有利な条件を教えてもらえる

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